社長の溺愛
癖なのか、はたまた離れたくないだけなのか、シャツを掴んでじっと俺を見つめる仔猫
涙目で視線を送る姿はずいぶん我慢していたらしい
「寂しかったのか…?」
そう囁くように問いかければ控えめに頷く
可愛いなぁ…
片手で引き寄せて抱き締めればぴったりとくっつく
いくら真夏で暑かろうと、彼女の体温にはかえられない
「こんなとこでイチャつかないでくださいよ、とりあえずあっち行きましょ」
呆れたように笑った南月が後ろにある白い建物を顎で指す
「翼と俺は期間限定でバイトしてるんですよ」
「……………翼が?」
「そう翼が、とりあえず暑いから入りましょ、日焼けしちゃいますよ」
愛しい翼が他の男に接客している姿を思い浮かべ、多少のショックを受ける
確信犯の南月が「ざまぁ」と呟いたのを俺はしっかり聞いていた