社長の溺愛



あっけからんとした紹介を受け、何をすればいいのかと考えてると


とーるちゃんとやらが声を発した


「オーナーの葛城徹〔かつらぎとおる〕です…えっと…迎えの人?」


よくわかんなくて、と目尻を下げた微笑みが誰かに似ている気がしたが、そんなことよりもどう答えたらいいのかと脳を使う


「申し遅れました、朝倉です。今日は迎えというか…まぁ、そうですね」


「へー」とわかってるのか分かってないのか、彼はたくさんある花を花瓶に入れていく


「翼ちゃんは?一緒に帰るんでしょ」


ニコニコと隣に座る翼に問いかける葛城さんは確定的に聞く


「……帰りたい…です」


小さく、でもはっきりと伝えられた彼女の思いに心なしか俺が安心している



「そう、良かったね来てくれてバイトもしてくれたし、楽しかったよ」



言葉を繋げていく葛城さんは、俺と翼の関係にはそれほど興味がないのか、それとも既に知り得ているのか絣もしない



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