社長の溺愛



「……お世話になりました」


「いえいえ、大事にしてあげてください」



優しい笑みと優しい口調とたまに吐く厳しい言葉に翼は少しの間だか救われたはずだ



「南月もな、幸弘から聞いたよ」


「うっわ、飯塚さんまじ空気読まないね」


心底嫌そうに舌を出して目を細める仕草についつい笑ってしまう


それにさえ不機嫌になりうる彼は思春期な普通の少年なのだ



「随分機敏に動いてくれたんだってな」


「しょうがないじゃないっすか、慎さんが浮気なんかするから」


「してねーよ、素直に感謝されろよ」



南月はあの日、翼がいなくなったあの日に


泣きながら電話口に声を発する翼がこれ以上傷つかないようにと大事に今日まで守ってくれた


すぐに幸弘にバレて俺が迎えにきたんだけどな、言いにくいけど感謝している




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