社長の溺愛
社長の溺愛。
電話をしてものの一分ほどで目当てのものは現れた
早すぎないか…?
先ほど同様に丁寧なお辞儀で現れたのは綺麗な動作の運転手
ここに来る前に幸弘が手配してくれたのだ
「どうぞ、ホテルの方は伺っておりますのでごゆっくりお休みください」
翼がいるのにも驚いた様子を見せずに、静かにドアを開けた
「慎……荷物とか…」
「先ほど葛城南月さまがお持ちになりましたよ」
だからこんなに来るのが早かったのか、なんて思考を巡らせていれば素早くシートに埋まる身体
多少の不安を顔に滲ませる翼は俺の隣にぴたりと張り付いてはなれない
「では、出発しますので、何かありましたらすぐに仰ってください」
「ありがとうございます」
ミラー越しに見える笑みにつられて笑えば合図とばかりに静かに発進する