社長の溺愛



「では、夏物デザインはこの案件をまとめたものを報告するんで、お疲れ様でした」


「「「お疲れ様でした」」」


夏物のアイデア会議を終わらせて、足早に会議室を後にする


デザイン課がアイデアを絞り出してくれたおかげでなんとか終えることができた


エレベーターまで行く途中にすれ違う全員から頭を下げられる

軽く会釈をしてスーツのポケットから携帯を取り出す


《もしもし、今から川崎支店に行く。車を出しといてくれ》


電話の相手は幸弘

どうやら幸弘も歩いているらしい


《はいよ、今駐車場だから入り口にいろよ》


《ああ、わかった》



相変わらず仕事が早い

俺が言う前には必ず準備をしている


エスパーかなんかじゃないかと考えたこともあるが、どうやら幸弘は俺の考えを簡単に読み取るらしい


広いエレベーターから出て入り口までこれまた広いロビーを行くと、幸弘は既に車をつけていた


「待たせたか?」


「いや、ちょうど今来たとこ」

それはよかった


タイミングまでいいとは、有能な秘書だな


車内の音楽は幸弘の趣味だが…






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