社長の溺愛
空調が効いてきたのか若干だが彼女の呼吸が落ち着いてきた
長い髪はタオルドライしたが風邪をひかないようにと細心の注意を払う
時刻は夕方4時を少し過ぎたところ
真夏なだけあって全くそんな気はしないが、翼といると時間が早く進んでいくようだ
「ちょっと寝てな、疲れただろ」
腕をといてベッドに寝かせる
「………わかった」
なんて答えながら彼女の細い指は俺の着るバスローブを掴んでる
「寝るまで……そばにいて…?」
「あぁ、いるよ」
少し伸びた前髪をどかして額にキスを落とす
しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきた
この間に、と携帯を脱ぎ捨てたままだったスーツの中から取り出す
発信音に続いて聞こえたのは間延びした声
《はーい、皆のアイドル幸弘様でーす》