社長の溺愛
ふざけているのか、否、幸弘なら本気だということもある
《ぇ…無視っすか社長ぉ!》
《うるせぇーよ、お前が喋る隙を与えないからだろ》
《俺が悪いみたいな言い方するね》
《実際そうだろ》
長い髪を手ぐしで梳かしながら感触を楽しむ
同じものを使ってるとは思えないほど柔らかく、さわり心地が良い
《―――…で、お姫様は?》
《今寝てるよ》
《仲直りできたんだー、つまんね》
あいつはいったい何を求めて生きているんだ
常に人の不幸を餌にしてるとしか思えないな
《失礼なこと考えてるーー社長うざぁーい》
《うざいのはお前だ幸弘》
クスクスと笑い声が機械音まじりに聞こえる
なんだか腹が立つが幸弘にキレたところで答えなど毛頭ない