社長の溺愛



ふざけているのか、否、幸弘なら本気だということもある



《ぇ…無視っすか社長ぉ!》


《うるせぇーよ、お前が喋る隙を与えないからだろ》


《俺が悪いみたいな言い方するね》


《実際そうだろ》



長い髪を手ぐしで梳かしながら感触を楽しむ


同じものを使ってるとは思えないほど柔らかく、さわり心地が良い



《―――…で、お姫様は?》


《今寝てるよ》


《仲直りできたんだー、つまんね》



あいつはいったい何を求めて生きているんだ


常に人の不幸を餌にしてるとしか思えないな



《失礼なこと考えてるーー社長うざぁーい》


《うざいのはお前だ幸弘》



クスクスと笑い声が機械音まじりに聞こえる


なんだか腹が立つが幸弘にキレたところで答えなど毛頭ない



< 410 / 413 >

この作品をシェア

pagetop