社長の溺愛
《しちゃったんだ、食っちゃったんだ、穢したんだー》
《おい、さすがに最後のは見逃せねぇぞ》
《だって本当だろーが、随分ご機嫌なのはそのせいだろ》
本当に、ヤツはいとも簡単には心を見透かす
うかうか秘書を任せてられなくなるな、いつ足元を掬われるかとヒヤヒヤする
《……もう泣かせんなよ、翼ちゃん》
急に真面目なトーンになった台詞はやけに胸に響く
《わかってる》
先ほど散々泣かせたが、あれは不可抗力だ
可愛すぎる翼がいけないんだ
《翼ちゃん寝てるんだろ?》
《あぁ、話したかったのか?》
《多少ね、まぁいいよ。起こしたら悪いからもう切るなー》
《ん、色々ありがとな》
《はいはい、翼ちゃんによろしくね》