社長の溺愛
パサッと簡易な音をたてたそれは、用途を済まされベッドの脇に沈む
それに続くようにして寝息をたてる仔猫の横に身体を滑り込ませる
十分すぎるほどの広さのベッドの上で相変わらず密着する
腕のなかに収まりながら安心感をただ漏れさせる彼女
それにつられるかのように俺を襲う睡魔
気がついた時には日が沈みかけていた
「ん……翼…?」
寝る前も今も腕のなかにいる存在を確かめるように抱き寄せる
「……起きたの?」
その声にぱちりと目が開く
「起きてたのか」
「うん、起きた」
ニコニコと天使のような微笑みを見せる翼の唇を奪う
柔らかい感触を確かめるように……
ゆっくり離して至近距離で見つめ合う
「翼、高校卒業したら結婚しようか」
不意に出た言葉
数秒間、首を捻っていた彼女はパッと笑顔の花を咲かせる
「する…!慎大好きっ!」
抱き着く彼女を抱き締めながら思わず苦笑いが出る
あぁ、俺はこの子を一生手離せないんだろうな……―――
――――――………end