社長の溺愛



翼は俺を喜ばせる天才だと思う

本当に可愛くて可愛くてしょうがない


『女』って言うのは、顔と財産しか見ないものだと思っていた俺には、翼が天使にすら思えている


彼女は敏感な子で、なかなかしゃべらない俺に対して怒らせてしまったとでも思ったのだろう


「……ごめんなさい」



感情を表に出さない彼女が今にも泣きそうな顔をした


ここまで周りの環境に敏感になってしまったのは、きっとレンタル生活で気を使いっぱなしだったからだろう


だから俺は言葉と態度で伝えてあげる


「怒ってないよ、嬉しいよ、翼」


笑って抱き締めてあげると、彼女の鼓動が早くなっていることがよくわかる


相手を怒らせただけでこんなになるものなんだろうか…



「本当…?怒って…ない?」


腕の中で小さく丸まった彼女には、見えない傷があるんだろうか


「ああ、怒ってない」

「………ぅん…」


納得したのか…?


仔猫は腕の中から抜け出すと、「……会社…行ってらっしゃい」と言い残してリビングを出た


今度は遠慮を始めた仔猫ちゃん

彼女にとっての休みはただの『暇』でしかない


自由に外に出ていいと言ったものの、彼女は引きこもり癖があるようだ


仔猫ちゃんに仕事はあるか分からないが、家にいるよりは幾分マシだろう







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