社長の溺愛
「翼、大丈夫だから…もういねぇから…な?」
どんなに安心させようと言葉をかけても、翼は落ち着くことなんかない
逆に酷くなる一方で、小刻みに小さく震える始末
「…やぁ…やだぁ…!」
何度も何度も嫌だと繰り返し、必死に首を振りつづける
俺は何も出来ない自分に苛立って、悔しくて悔しくて必死に抱き締めることしかできなかった
「ひっく…っく…」
翼が初めて見せた涙は
悲しみでも
喜びでもなくて
『怯え』だった