社長の溺愛
川崎支店には10分ほどでついた
「あっ、社長!」
店に入るなり店長が頭を下げる
Wingの店長はだいたい男。女だと逆ナンや色目使いなどで話が進みにくいから
内装はほぼ終わっていて、あとは服やカバンを置くだけ
「商品は明後日までには届くそうです」
「そうか…店員面接はどうだった?」
支店が増える度に店員が必要になる
店員まではなかなか見れないので店長に一任しているのだ
「だいたいは決まりました。俺好みで固めましたよ」
「ナイスだ牧!」
ふらふらと店内をうろついていた幸弘が店長の牧に絡む
「店員を誘惑したりしないようにな」
軽く流しながら注意をすると「はい!」と牧が返事をした
ぐるりと一周、店内を見渡す
いい感じだな、ここはもう大丈夫だな
「おい幸弘、行くから離れろ」
「へーい」
長い足をパタパタと鳴らしながら入り口の扉を開く
「じゃあな牧、お疲れ」
「はい!お疲れ様でした!」
牧の言葉を背中に受けて外に出る
幸弘が車のドアを開けて待っている
軽く駆け足で行こうとしたとき
それは視線に写り込んできた
いや、俺が写した