社長の溺愛
「………慎っ…」
何十分もたった頃、しゃくり上げてたのも落ち着いてきたときに俺を呼んだ
「ん…大丈夫だ…」
涙の跡に指を添えてやると、不安を瞳に浮かべる
「慎…恐いこと…しないで」
突然の言葉に何故か鼓動が早くなる
「しないよ…?」
眉を寄せて悲願する姿は本当に痛々しく、目を背けたくなるほど
「恐いこと…しないで…」
可愛い顔を歪ませ、ここまで震わせるものは一体何なんだ
小さい身体に傷を刻み込んだやつは誰なんだ
翼は何度も何度も痛々しい悲願を繰り返し、意識が切れたように泣きつかれて眠りに落ちた
俺は壊れないように、崩れ落ちてしまわぬように
まだ濡れたままの睫毛に唇を寄せた
それは、翼を慰めるものでもあり、翼を傷つけたモノに対しての怒りを募らせるものでもあった