社長の溺愛
敵の正体
時刻は夜10時
一度起きた翼と夕飯を食べて、風呂に促した後
俺の顔を見て、何も言わないことに安心したのか髪を乾かしてやってる間に再び眠りに就いた
高校生にしては早めの就寝だが、俺としては好都合だった
ブーッ、ブーッ
翼をベッドに運び、腕枕をしていたとき
無機質なバイブ音が控えめに鳴る
プライベート用の携帯が着信を知らせてる
《もしもし…幸弘か?》
《ああ、翼ちゃんは?》
《もう寝たよ、鍵は開いてっから》
《わかった、今行く》
ほんの数秒の会話を終えてベッドから抜け出すと、寝ている翼が俺の服を掴んだ
ひと恋しいのか、寒いのか
理由は何にしろ側にいてやる必要がありそうだな…
手を握り返してベッドに腰かける
「んん……」
起こしたか?
声がしたから起こしてしまったと思ったら、翼に起きる気配はない
ただ、座ってる俺の脚に額を当ててきた
本当に猫みたいだな…
クスリと笑って髪を分けてやると、再び規律いい吐息が聞こえてきた
今すぐ抱き締めて一緒に寝てやりたい衝動を抑える
その変わりに手を握ったままにした