社長の溺愛



ドクン―――………







ドクン―――………






意外にも、俺は落ち着いていて



冷静に写真の男を見つめていた




グシャ―――……



掌によってしわくちゃになった写真をさらに強く、もっと強く、爪が食い込むまで捻り潰した



「慎…」



「…………」






ぐしゃぐしゃに丸まったそれを投げ棄てて、俺の脚に擦り寄る翼にそっと触れる



優しくまぶたにキスを落とす



「翼――…」



もちろん返事なんかなくて、変わりに聞こえてくるのは小さな寝息



「なぁ、幸弘…」



翼を見つめたまま、自分とは思えない低い声が喉から出る


「………なんだ」



「準備を……しといてくれ」



きっと今の幸弘も同じ気持ちだろう



「……あぁ、少し…時間が掛かるがいいか?」



「いくらでもかけてくれ」




翼を守るためなら









何も惜しまない










翼しかいらないんだから―――……











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