社長の溺愛
幸せを
「おはよう、翼」
今朝の仔猫は昨日以上に早起きだ
まだ俺がベッドで寝顔を眺めていたときにゆっくりと目を覚ました
「………おはよう」
まだゆらゆらと揺れたままの瞳を俺に向けるから、つい抱き寄せてしまう
「ふぁー……」
小さいあくびを漏らして、何の抵抗もなく腕の中に収まる可愛い仔猫
「眠いなら寝てていいからな?」
柔らかい綺麗な髪を撫でていると、翼の目がとろんとしてくる
「……寝ない…慎、ご飯食べよう?」
スルッと腕から抜け出した仔猫は、ベッドから出るように俺に催促する
今日はやけに素直だな…?
「…慎は寝るの?」
首を傾げて寝転がる俺の腕に触れる
可愛い…
もっと疑問を浮かべてほしくなる
だけど、もしここで機嫌を損ねてしまったら大変だ
猫は気まぐれだからな…
「寝ないよ、ご飯食べような?」
「…ん」
翼はストンとベッドから下りて一度寝室から出ると、何故か戻ってきた
「行こう?…一緒に」
これまた可愛い困り顔に「あぁ」と返事をして、キッチンまでの短い距離を手を繋いで移動した