社長の溺愛
あまりに可愛いくて、じっと見つめてるとぷいっとでも効果音がつくように顔を背けた
「幸弘くんと行く…」
ぼそっと聞こえた声は不貞腐れた可愛い声
思わず笑みをこぼしてしまいそうなのをなんとかこらえる
そっぽを向いたままの翼の手を握り、こっちを見させる
「…………」
「つーばーさ?」
「………幸弘くんの方が優しい」
オイオイ…!
幸弘くん何してくれてんだよ!
これ以上なつかせるわけにはいかねぇー……
とりあえず機嫌を取らなくては…
「わかった、早く行こうか」
「………幸弘くん」
「幸弘は会社だから、な?行こう?」
「むぅー……」
それから「幸弘くん」を連発する翼
お前が呼ぶのは俺だけで十分なんだよ
あまりの拗ね具合に、これじゃ埒が明かないと顔を背ける翼を抱き上げる
あ、大人しくなった…
蓋を閉めたようにピタッと大人しくなると、ちょっとだけ力を入れてスーツを掴んだ
「進め」ってことか…?
それを合図に可愛い翼を連れてマンションを後にした