社長の溺愛
俺は静かに怒りを増幅させる
翼―――……
バンッ…!!!
目を閉じて翼を思い描いたときだった
なんの前触れもなく会議室の扉が開かれた
視線を向けると、その先にはかなり息をきらせた幸弘がいる
「はぁ…はぁっ…」
扉に手をつきながら必死に呼吸を整えると、何かを思い出したように叫んだ
「慎!翼ちゃんが…!翼ちゃんが俺に脅えて…!」
……?
脅える……?
翼が幸弘に…?
ただならぬ雰囲気を感じて扉の方へと駆け寄る
「翼が…翼がどうしたんだ!?」
自分の声は既に冷静さを失っていた
さっきまで冷静に怒りを納めていたはずなのに、翼の泣き喚く昨日の姿を思い出し、気づかない内に叫んでいた