社長の溺愛
再び駆け出す足
「翼!」
あと一歩で伸ばした手が震える身体に触れる
なのに
「いやぁああああああ!」
聞こえきた悲鳴に
時間が止まってしまった気がした
目を痛いほどに強く瞑り、不自然なほどに震える身体
悲痛な叫び声に俺は改めて『無力』さを痛感させられた
「いやぁああ…いや!やぁっ!」
綺麗な髪はぐちゃぐちゃになっている
無力でもなんでもいい
今の俺に出来ることは
翼は怯えなくていいということを
伝えること