社長の溺愛
伸ばしかけてた手を小さな頭にポンと置く
「俺だ…翼、慎だ」
「やぁっ…はな…し…」
俺のことに気づいてない様子
ここは強行突破が最善策だな
自分を傷つける全てのものから身を守る
心なんかボロボロになってしまった翼を、俺はなるべく優しく空気の入ったシャボン玉を抱くようにして、小さい身体を抱き寄せた
「いやぁあ…やぁあっ!」
触れた瞬間に暴れ出す
それでも構わずに腕の中に収める
「はぁっ…やっ…!」
どんどん呼吸が荒くなっていく翼
「俺は浅倉慎だ。傷つけない…恐いことなんか…絶対にしない」
「いやいや…いやぁ…」
「大丈夫だから、恐くないから」
何度も何度も言葉をかけ続け、その度に激しい拒絶をされる
そして
「いやぁああああああ!!!」
喉が痛くなるんじゃないかという、割れた叫び声が部屋に響いた
「翼…?」
意識はあるようだが、瞳を閉じているせいで表情が上手く読み取れない
「翼、目を…開けて?」
声は出さずに首を振る
そんなんじゃ埒が明かない
「…俺を見てみろ翼」
とびきり優しく囁いてみる