社長の溺愛
護りたいものがあるならば
翼を抱き締めたまま数分が経った
鼓動も正確にリズムを刻んでる
やっと落ち着きを取り戻した翼は、安心しきったように眠りについた
「慎、」
ソファーに横になる翼の頬を撫でていたとき
幸弘が段ボールから溢れでるほどのお菓子を持って入ってきた
「翼が寝てっから、つか…何だよその荷物」
翼の寝顔を一度覗くと、「翼ちゃんにあげようと思ってな~」とまるで寝ていたことも知っていたように翼にタオルケットを掛けた
「なんでタオルケット持ってきたんだよ」
「ん?あぁ~」
伏し目がちに「寒いって言ってたんだよ…」と何故か眉間に皺をぐっと寄せた
「寒いって…この時期にか?」
「たぶん、寒いんじゃなくて……恐かったんだよ」
―――……?
「恐かった?……宮下吉雄がか?」
翼がいるからか、アイツの名前のときにはボリュームが少し下がっていた
幸弘は軽く首を振った
「それもあるけどな、たぶん…お前だよ」