社長の溺愛
実際にたくさんの表情をみせることはある
今日だって拗ねたり、泣いたり
でもそれは、翼本来のものであって、心を開いてるわけではない気がする
「それは違「無表情なんだよ、俺といるときは」
否定を述べようと口を開くと、幸弘によって遮られた
「翼ちゃんは俺の拒まないでくれるけど、それは俺が“慎の友達”だからなんだよ」
「…………」
「慎と俺が信頼し会ってるから、翼ちゃんも俺になついてくれんだよ」
「…………」
「でも、俺といるときは全くの無表情。慎のことにしか反応しねぇーの」
「…………」
「きっと…翼ちゃんの中でお前は“特別”な存在なんだよな」
幸弘は少しだけ眉を下げて、「翼ちゃんがお前を選んだのは当たりだな」って優しく微笑んだ
当たりかどうなのかは分からないが、俺を選んでくれているというのは正直嬉しい言葉だ
俺が翼を安心させてやれる存在になれるなら
それ以上の幸せはなんかいらない
少しでも安らげる存在でいられるならば
俺はそれでいい
それほどまでに俺は翼に溺れてるから