社長の溺愛



実際にたくさんの表情をみせることはある


今日だって拗ねたり、泣いたり

でもそれは、翼本来のものであって、心を開いてるわけではない気がする



「それは違「無表情なんだよ、俺といるときは」


否定を述べようと口を開くと、幸弘によって遮られた



「翼ちゃんは俺の拒まないでくれるけど、それは俺が“慎の友達”だからなんだよ」



「…………」



「慎と俺が信頼し会ってるから、翼ちゃんも俺になついてくれんだよ」



「…………」



「でも、俺といるときは全くの無表情。慎のことにしか反応しねぇーの」



「…………」



「きっと…翼ちゃんの中でお前は“特別”な存在なんだよな」


幸弘は少しだけ眉を下げて、「翼ちゃんがお前を選んだのは当たりだな」って優しく微笑んだ


当たりかどうなのかは分からないが、俺を選んでくれているというのは正直嬉しい言葉だ



俺が翼を安心させてやれる存在になれるなら


それ以上の幸せはなんかいらない


少しでも安らげる存在でいられるならば



俺はそれでいい



それほどまでに俺は翼に溺れてるから










< 80 / 413 >

この作品をシェア

pagetop