社長の溺愛



ガラガラガラ…



「慎…や・さ・い」


何故か野菜をスローで言うと、サラダ用の人参をじっと見ている


ショッピングカーをガラガラと動かしながら


俺はただの付きそいの人のようになってる…


「慎、どれがいい…?」


人参を片手に首を傾げてる


なんか似合うな、人参と翼って

「あぁー、右のでいいんじゃないか?」


「うん」


素直に頷き、俺が後ろにいることを確認して再びカーを押す


俺はちらっと周りを見渡すと、翼の隣に寄り添って親密そうな雰囲気を出した


翼をみてる男共がいるからな、予防線だ

翼に変な虫がつかないようにな


実際俺が側にいれば誰も寄ってこない


視線は無理矢理遮断するしかないが…


「慎ー……?」


隣から可愛い声が聞こえてパッと見ると不思議そうな顔をした彼女


「ん?どうした?」


「…………」


じーっと見つめると、人差し指を遠慮がちに俺の眉間に当てた


「………?」


またまた奇想天外


何がいいたいのか


「どうした翼、ここがどうかしたのか?」


翼は指をスッと離すと

「シワがある…嫌なこと?」

と呟いた


どうやら俺は周りの男に威嚇しすぎて、不機嫌そうに見えたらしい


「お仕事疲れた?」


可愛い…


「大丈夫だよ、早く帰って作ろうか」


俺が優しく微笑むと、翼はほんの少し静止して


「ん、作ろう」


とカーを楽しそうに押し始めた


……停止?



まぁいいか、早く帰って翼を独り占めしよう


他の男に見せとくにはもったいないからな




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