社長の溺愛



カルボナーラは二人で作った分美味しく感じられた


改めて誰かがいる素晴らしさを実感…


「お風呂上がったー」


先に風呂に入った翼が、頭にタオルを垂らしてやって来た

ソファーに座らせて、それをガシガシと拭いてやる

実はこの時間は俺にとって大事な大事な時間である


翼の顔にかからないように温風を当てていく


その時の翼は目を閉じてうとうとする


翼が寝るのはだいたいこのタイミングで、いつも我慢してるらしいが睡魔には勝てないようで…

たまにベッドまで耐えるときはあるが、今日もカクンと首が傾く


俺はこの時間が大好きだ


睡魔と闘う姿はいつも胸をくすぐるし、何より無防備に安心してくれているようで俺が嬉しい

髪を乾かし終える頃にはすやすやと寝息をたてている


いつもの如く軽い身体を抱き上げてベッドに運ぶ


温もりを求めて俺に擦り寄ってくる


なるべく優しく抱き締めて、翼が深い眠りに落ちるのを待つ


微動だにしなくなった身体を確かめて、俺はベッドから下りた

そして寒くないようにと翼に買った、ウサギの抱き枕を俺の変わりに置いて、チュッと額に唇を付けると寝室を後にした


大事な翼を護るためなら寝る間も惜しもう


静かに音を立てないように書斎に入りパソコンを開く


夜の仕事の始まりだ―――……









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