社長の溺愛
当たりと外れの間で
あれから1週間が経ち、昼は社長をして夜は浅倉慎として働いている
翼には気づかれないように慎重に
もしバレてしまったら、きっと翼のことだ、俺を心配してくれるだろう
そして、自分のせいだといって自身を責めてしまうかもしれない
そんな哀しいことはさせたくない
させない
だからこそ静かに着々と準備をしていく
もうすぐだ
もうすぐ奴が引っ掛かる
「行ってきます」
会社に行く途中に翼を学校に送る日課
「あぁ、行ってらっしゃい」
車内で多少の会話を済ませ、可愛い翼は校舎へと姿を消した
見えなくなるまで見送ってからアクセルを踏む
今日だな…
会社に入って直ぐに幸弘が待ち構えていた
スッと近づいてくると笑いながら情報を漏らす
「今日の2時だ、あいつが空いてる時間らしい」
俺は軽く頷いて「2時には何もいれんなよ」と笑ってみせた
「わざわざ敵の方から出向いて下さるんだ、んなバカしねぇーよ」
「来るように仕向けたんだけどな?」
二人で笑い合ってると社長室が近づく
幸弘はつくづく不気味な笑顔をする
こいつは敵に回したくないタイプだな