hb-ふたりで描いた笑顔-
アルバムをめくる。そこには確かに自分が写っている。しかし、まるで覚えがない。なんとも奇妙な感じだ。落ち着かない。
「私が・・・いる・・・。」
「これ、幼稚園の時の遠足の写真だよ。」
象の前でふたり並んでいる写真だ。しかし、何も思い出せない。思いだそうとすると頭が激しく痛む。
「痛っ。」
こめかみを押さえた。
「姉さん、大丈夫?」
「お母さんっ。」
美優と幸男は慌てて駆け寄った。
「大丈夫です。それと・・・ごめんなさい。ここに写っているのは、私かもしれないけれど、何も思い出せないの・・・。」
それを聞き、幸男の瞳に涙が宿りはじめる。
「お母さん、僕を忘れちゃったの?」
どんなに悲しい顔をされても、美喜にはどうする事も出来ない。首を横に振り、幸男に謝った。
「ごめんね。本当にごめんね。」
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