hb-ふたりで描いた笑顔-
「幸男、学校に遅れるよ。」
「・・・うん。」
幸男たちの目覚めも決していいものではなかった。昨日、あんな事があったのだから、当然と言えば当然だ。
テレビをつけると、ちょうど星占いをやっていた。幸男はこの星占いと言うのがよくわからない。クラスの女子は何かそんな話をしているようだけれど、幸男にとってはちんぷんかんぷんだ。何を言っているのか、まるでわからない。そして美優もこの星占いと言うやつが好きだった。いつもこのコーナーになると、テレビの音量を少しあげる。
そして、テレビから聞こえる声に耳を傾けていた。
「今日の一位は魚座のあなた・・・。」
それを聞き、美優ははしゃぎ幸男の肩を抱いた。
「あ、幸男。一位だって。よかったね。」
「・・・うん。」
ピンと来ない。そもそも幸男は自分が何座かも知らない。だから、一位だと言われても、自分が一位なのか、それとも叔母が一位なのかわかっていない。返事をしたもののそこから先の言葉が続くはずもなかった。
「何、そのリアクション・・・。もっと、喜びなよ。」
「そんな事言われてもさ・・・だって、よくわからないんだもん。」
素直に言ってみた。
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