部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

夜、佐紀の家。


佐紀は、食事を済ませて部屋に入って来た

机の前に座ると、ポケットから、
紙を取り出した。

あわてて入れたため、
紙は、くしゃくしゃになっていた。

その紙を伸ばし、何か、メッセージが、
書いていないか、見る。

しかし、そこには、番号だけしか、
書かれていなかった。


  “ぶっきらぼうな、祐太らしいや”


そう思い、佐紀は、微笑んだ。

もう少しきれいにしようと、佐紀は、
紙を裏返し、ていねいに、伸ばし始めた。


  「あっ」


力を入れ過ぎて、紙が、破れてしまった。

あわてて紙を取り上げるが、もう遅い。


  「もぅー」


そこで、のりを付けて、他の紙に、
貼り付ける事にした。

ていねいに、破れ目を合わせる佐紀。

そして、その番号を、携帯に入れて行く。

入れ終わった後、佐紀は、
それを、3度、確認した。

そして、祐太の名前を入れる。

佐紀は、自分ではわからなかったが、
終始、笑顔だった。

誰も見ていないのだから、
自分を押さえる必要はない。

まるで、雲の上を歩いているような、
フワフワとした気分だった。

嬉しそうに、携帯の画面を見る、佐紀。



しばらくして、佐紀の顔から、笑顔が消え、
緊張の顔になった。


< 11 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop