部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

桃子のその質問に、皆が、ハッとした。

友理に父親がいないのは、知っていた。

しかしその質問は、してはいけないものと、
暗黙のルールとなっていたのだった。

しかし、桃子は、そんな事、知らなかった。


  「いいや」


  「あっ、ゴメン。

   私んトコ、死んじゃったから、
   つい、訊いちゃった。

   ゴメン、ゴメン」


桃子は、明るく、そう言った。

今度は、皆、驚いて、桃子を見た。

そう言えば、皆、桃子の家の事は、
何も知らなかった。

他地区から、ここに来て、佐紀たちの中に、
一人入ってきて、遠慮していたのか、
自分の事は、あまり、話さなかったのだ。


  「モモも、苦労、してんだね」


  「さあ、どうなんだろう。
   小さい頃、死んじゃったから、
   よく、わかんない」


  「じゃあ、モモの寒いギャグにも、
   付き合ってやるとするかな」


  「えー、同情なんか、いらないよ。

   普通に、突っ込んでくれたら、
   いいんだから」


  「普通にって、それ、無理!」


  「えぇー、なんでぇー」



桃子の告白に、勇気が出たのか、
友理が、話し始めた。


  「ウチの、お父さんは、………」

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