部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

梨沙は、涙を拭うと、


  「感謝してるんなら、態度で示してよ」


  「態度って、何やの?」


  「そうだなあ、一生懸命、走るとか」


  「ウチ、一生懸命、やってるやん」


  「もっと、もっと、必死に走るとか」


  「それは、モモの、ギャグやわ」


  「私のギャグって、何なの?」


  「無理っ!」


  「えー、そんなぁー」


  「ハハハハハ」


ようやく、皆、元の皆に戻った。



  「それで、あの時……」


佐紀がそう言うと、友理も、
何の事を言っているのか、わかった。


  「うん、普段は、忘れてんやけど、
   “殴られる”思たら、
   あの時の事が、出て来たんや」


  「恐らく、PTSDですわね」


  「PTSDって、何?」


  「正式な名前は、忘れましたけど、
   過去に受けた傷が、何らかの
   きっかけで、よみがえる事を、
   言うらしいですわよ」


  「ほな、たぶん、そうやわ。

   サキらと会うて、もう、忘れたと、
   思てたんやけど、
   まだ、残ってたんやなあ」


皆、友理の為に、
何かしてあげられないかと思ったが、
どうしていいのか、わからなかった。


  「時が、解決してくれますわよ」


この、華子の言葉が、精一杯だった。

< 121 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop