部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

練習が終わるまで、延々、5対5が、
行われた。

佐紀たち2年生と大学の3年生、
亜紀たち1年生と大学の1・2年生が、
交替で、5対5をした。

つまり、5分やって5分休むという事である

友理は、コートから出ると、膝に手を付き、
ぐったりしていた。

しかし佐紀は、休みの時でも、
1年生に、声を送っていた。


  「アキ、スクリーン・ケア」

  「そこ、スイッチ」


友理は、そんな佐紀を、横眼で見ながら、


  “なんで、あんなに、出来んねん。
   こりゃ、自分とは、人種が違うわ”


そう思った。



最初は、タイミングが合わなかったり、
入れ違いになったりして、なかなか、
上手く行かなかった。

しかし、回を重ねるに連れ、
スクリーンが、掛かるようになって来た。

すると、今度はディフェンスが、
なんとか、外そうとし始めた。

そして、練習の終わりの頃には、
濃密な、駆け引きの応酬が、
見られるようになって来たのだった。



体育館に、笛の音が、鳴り響く。


  「集合」


皆が集まると、野村先生が出て来て、


  「これで、スクリーン・プレイにも、
   対応できるだろう。

   大切なのは、コミュニケーションだ
   例え、スクリーンでなくとも、
   コミュニケを取り合う事は、
   大事だぞ。

   それが、延いては、チームワークの
   向上にも、つながる。
   忘れんようにな」


  「はいっ」


  「じゃあ、今日は、これで終わる。
   お疲れさん」


皆の緊張が解け、安堵感が広がった。


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