部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
………(5) 決 勝
県大会、3日目。
いよいよ、決勝である。
相手は、下馬評通り、双海学園。
佐紀たちが、体育館に入ると、向うに、
女の人の集団があった。
その中から、弥生と明美が、出て来た。
「サキっ!」
「あっ、弥生さん、
おはようございます」
「みんな、連れて来たわよ。
これで、応援は、負けないわよね」
すると、その後ろから、
「サキっ!」
「あっ、須藤さん」
「見せてもらいに来たわよ。
頑張ってね」
「はいっ、頑張ります」
集団の中から、野太い声がした。
「おいっ、サキっ!」
その集団が割れて、坂井が出て来た。
「あっ、コーチ」
皆、坂井の教え子たちである。
どうやら、坂井を囲んで、思い出話に、
花を咲かせていたみたいだった。
坂井は、佐紀達の所に来ると、
「いやいや、ワシはもう、
お前たちのコーチじゃない。
今日は、一人の、甲陽ファンとして、
見させてもらうぞ。
頑張れよ」
「はいっ、頑張ります」
やはり伝統校は、OGの結束も固いんだな、
と佐紀は思った。
しかし、それはまた、佐紀に、
無言のプレッシャーを、与えていた。