部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

ベンチに帰って来た佐紀たちに、
三田が、何か言おうとすると、観客席から、


  「こらぁ、ソノぉ、サボるなぁ。
   もっと走れぇ~」


と言う、良く通る声が、聞こえて来た。

三田は、聞き覚えがあったので、
声のする方へ、振り向いた。

観客席で、千奈がこぶしを振り上げ、
応援していた。

千奈は、三田と目が合うと、軽く会釈した。

三田も手を上げ、それに答えた。

三田は、振り返ると、笑顔で、


  「試合に出たくても、
   出られないやつもいるんだ。
   そいつのためにも、
   頑張らなきゃな」


皆、うなずいた。


  「いいな、ここが正念場だ。
   最後まで、諦め………」


三田が、皆を見ると、皆、しっかりと、
見返してきた。

三田は、微笑んで、


  「これは、言う必要が無かったな」


そして、一呼吸置くと、


  「いいか、向うは、休養充分の、
   プレス・チームが出てくる。
   負けるな、逃げるな。

   こちらには、どこにも負けない、
   チーム・ワークがある。
   仲間を信じて、闘うんだ」


  「はいっ」


  「こちらも、残分2で……」


三田は、友理を見た。


  「残分、1分30秒で、
   プレスに入る。
   最後だ。
   力いっぱい、走れ」


  「はいっ」



佐紀が、声をかける。


  「いい、最後まで、走り切るよ。
   イチ、ニッ、サン」


  「ファイ」



佐紀たちは、闘志を奮い立たせて、
最後の闘いに、向かった。

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