部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

ボールは、きれいな弧を描いて、
ゴールに吸い込まれて行った。


  “シュパッ”


ゴール・ネットが、大きく揺れた。

静かな体育館に、その音だけが、響いた。

皆が、その音を聞いたような気がした。

そして、それは、このゲームの、
決着を告げる、音でもあった。



沈黙を破るように、審判の笛が鳴る。


  「カウント! タイム・アップ」


桃華のベンチから、歓声が上がる。

桃華のコーチが、
大きく、ガッツ・ポーズをした。



それを聞いた佐紀の頬を、一筋、涙が伝った


  「終わった」


佐紀は、そう、つぶやいた。

それは、負けた悔しさではなく、
終わった寂しさによるものだった。

ふと横を見ると、華子の頬にも、
何か、光るものがあった。

< 280 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop