部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
次の日佐紀は、坂井コーチの店の前にいた
練習は、華子に任せて、
とにかく昨日のことを、謝ろうと思った。
中に入ろうと思うのだが、なかなか、
その一歩が、出ない。
しかし、皆のためにも、もう一度、
コーチしてもらわなくてはと、意を決して、
店の中に入って行った。
「こんにちはー」
坂井が出て来た。
「いらっ……。なんだ、サキか。
もうワシには、用事はないはずだろ」
佐紀は、大きく、頭を下げた。
「新人戦は、すみませんでした。
心を入れ替えてやりますので、
もう一度、コーチ、お願いします」
しかし、坂井の声は、冷たかった。
「ダメだ」
「お願いします」
「ダメだと言ったら、ダメだ」
「お願いします」
「もうお前たちには、愛想が尽きたと
言ったろっ」
「お願いします」
何度言っても、坂井の返事は、同じだった。
坂井の語気が強くなる。
「もう、帰れっ。
ワシは、お前たちを見る気は無い。
仕事の邪魔だから、帰れっ」
坂井には、これ以上、何を言っても
無理なようだった。
佐紀は、日を改めて、また、
頼んでみようと思った。
「失礼します」
そう言って佐紀は、店を出た。
佐紀が店を出ると、坂井の表情が変わった。
それは、苦悩の表情に、似ていた。