部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
梨沙が、入院している病院に、
佐紀が入って行った。
梨沙は、手術を選択した。
それは、最後の大会に、間に合わなくても
仕方がないという事を、意味した。
病室のドアが開き、佐紀が入って来た。
「リサぁ~」
「おっ、サキ、さしぶりぃ」
「久しぶりって、昨日も来たじゃない」
「誰にも会わないと、
一日が、長いんだよぉ」
佐紀は、時々、ここに来ては、
日々あった事を、梨沙に話していた。
「で、コーチ、どうだった?」
昨日もここに来て、新人戦の事を、
泣きながら話し、
梨沙に慰めてもらっていたのだった。
幼稚園から一緒にいる梨沙は、
佐紀の、良き相談相手だった。
梨沙の、その、お気楽な性格ゆえに、
すぐ考え込む佐紀は、何度も助けられた。
“そんなの、いいじゃん”
“まっ、いいか”
“仕方ないじゃん”
梨沙に、そう言われると、
佐紀の気持ちは、一気に楽になった。
佐紀の、前向きの性格は、
この、梨沙に依る所が、大きかった。
ただし、梨沙は、深く考えていない分、
いい加減な所も、多々あったが。
「うん、今日は、ダメだった」
「そっかぁ、まっ、次行ったら、
違うかもしんないしぃ」
「うん、また、行ってみるよ」
「ところで、ユリは?」
この質問で、病室の空気が、一気に澱んだ。