部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
入って来た三田に、坂井は、
「おぉ、すまんな。
わざわざ、来てもらって」
「いえ」
「ワシが、甲陽のコーチをしてるのは、
知ってるだろっ?」
「はい」
「でなっ、もう、コーチを辞めようと
思ってるんだ」
「えっ、また、どうして」
「最近は、景気が悪くてな、
そうそう、店を空ける訳にも、
いかなくなってきたんだ」
坂井は、少しの沈黙の後、ボソッと、
「そろそろ、潮時だと、思うんだ。
どうだろう?
あいつらを、見てやってくれないか」
「はい…、私は、かまいませんが……」
「おお、そうか」
坂井の顔が、パッと明るくなった。
「だいぶ前から、新人戦で辞めようと、
決めていたんだよ」
「私は今、どこにも
属していませんから、大丈夫ですが
坂井さんは、いいんですか?」
「未練が無いと言えば、嘘になる。
だが、こうなった以上、ワシの最後の
仕事は、あいつらに、良いコーチを、
探してやることだ」
坂井は、三田をまっすぐ見据え、
「ワシの事は、気にせんでいいから、
三田君の思う通りやって、あいつらの
力を、引き出してやってくれ」