部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
最後に三田は、ちょっと気になる事を、
坂井に、訊いてみた。
「みんなには、坂井さんのこと、
どう、言っておきましょうか?」
「ああ、それか。
“もう、とことん愛想がつきたから、
見るのをやめた”とでも言ってくれ」
「いや、しかし、それでは……」
「その方が、あいつらも、発奮するし、
結束も、固くなるだろう。
これはワシの、“最後の強がり”と、
思ってくれ。
それと、こうも言ってくれ。
“こんな前代未聞のチームは、
知らん”とな」
「前代未聞……、ですか」
「ああ、前代未聞だ。
あいつらは、いいぞ。
今まで見たチームで、一番いいぞ。
だからこそ、変なコーチに、
任せたくないんだ。
おっと、これは、言わないでくれよ」
「はい、わかってます。
じゃあ、そう、言っておきます。
それでは、失礼します」
そう言って、三田は、店を出て行った。
その背中に、坂井は、声をかけた。
「頼むぞ。あいつらを、頼むぞ」
三田は、前を向いたまま、うなずいて、
店を出た。
その、三田を見送る坂井の顔は、
安堵感と寂しさに、溢れていた。