部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
夜、佐紀の家。
佐紀は、机に向かって、宿題をしていた。
「ふ~、数学、終わったぁ」
そして、頭を上げ、椅子にもたれかかった。
佐紀は、そのままの格好で、
宙を見据えたまま、しばらく動かなかった。
勉強に、集中している時はいいが、
集中が解けると、あの感情が、
湧いてくるのだった。
少しして、カバンの中をゴソゴソ探り、
携帯電話を、取り出した。
携帯を開き、祐太の名前を出す。
佐紀は、その画面を、ジッと眺めていた。
今、ボタンを押せば、祐太につながる。
押して、“あれは、冗談だよ”と言えれば、
どんなにいいだろう。
祐太と付き合う事で、新しい世界を、
見ることが出来た。
しかし今は、夢のために、
それを、封印しなければならない。
しばらく、祐太の名前を見ていた佐紀は、
それを削除して、静かに、携帯を閉じた。
佐紀は、携帯をカバンにしまい、
次の宿題に、取りかかった。