部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
祐太に、その素振りは、見えなかった。
佐紀は、よく、祐太を見ていた。
その時、たまに目が合っても、
祐太は自然に、他に注意が移っていた。
むしろ、佐紀の方が、ドキッとして、
目をそらしていた。
だから、この祐太の告白は、意外だった。
でも、今まで思ってきた祐太に告白されて
嬉しくない訳はない。
だが、口をついて出て来た言葉は、違った。
「いきなり、そんなことを言われても」
別に、佐紀に、打算があった訳ではない。
ただ、初めてのことなので、
どうしていいか、わからなかったのだ。
すると、祐太は、
「返事は、今でなくて、いいから。
これ、俺の携帯」
そう言って、携帯の番号を書いた紙を、
佐紀に渡した。
「えっ、でも……」
佐紀が、どう言っていいかわからずにいると
向うから、話し声が聞こえてきた。
「じゃっ、じゃあ、
返事、待ってるから」
そう言って、祐太は、走って行った。