部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

荒井先生は、友理に父親がいないのは、
身上書で、知っていた。

だから、友理の言う事も、母親の気持ちも
わからなくはなかった。


  「お金のことなら、奨学金もあるわよ」


  「せや、奨学金、受けたら、
   心配のう、行けるやん」


  「奨学金受けて、バイトしながら、
   行っている子も、たくさんいるわよ」


  「はい……」


先生は、成績表をパラパラとめくりながら、


  「あなたの成績なら、もう少し頑張れば
   国立大学にも、行けるわよ」


すると、それを聞いた母が、


  「えっ、ウチの子、
   そんなに、頭、いいんですか?」


  「ええ。まあ、東大や京大は、
   難しいかもしれませんが、
   地方の国立大学なら、
   十分、可能性があります」


先生は、再び成績表に目をやり、


  「そうねえ、家から通える国立となると
   レベルが高いから、
   かなり頑張らないと。

   でも、無理ってわけじゃ、ないわよ」


母は、パッと、明るい顔になって、


  「友理、行こっ、
   頑張って、そこ、行こっ」


  「うん……」


  「もし、就職するのなら、
   クラスを下げた方が、点数的にも、
   有利ですが」


  「いえいえ、そのまま、
   置いといてください。
   私が、この子を説得しますから」


  「じゃあ、友理さん、
   それで、いいわね」


  「はい……」


  「それでは、今回は、これで」


友理とお母さんは、立ち上がった。


  「ありがとうございました。
   今後とも、よろしゅうお願いします」


お母さんは、大きく、お辞儀をした。

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