僕等は野良猫




白で統一された部屋



微かに


薬品のような匂いがする



「浬音?どうした?耳が垂れてるけど‥」


「‥薬品の、匂いがする…」


「あーー…、動物は好きな匂いじゃないよな」



庵は


クスクス笑いながら


近くのソファーに


座った



「……比奈‥」



庵は


遠い瞳をしながら


囁いた



「比奈なら大丈夫だと思うよ」


「‥浬音」


「大丈夫だから、僕等を逃がしてくれたんだ………例え‥、命の保証がなくても」



そう、


例えそこで


力尽きたとしても


比奈は


後悔しない



だから…



「僕等は、信じて待たなきゃダメだよ…庵」


< 108 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop