僕等は野良猫
「庵ちゃんを囮に使うの?」
「その通りだ、アスカさん」
「…俺を囮って……、どうすんだよ」
「簡単簡単」
比奈は
クスクス笑いながら
一つの紙を
ポケットから出した
「とある族の奴に……お前の情報を流す」
「‥族に?」
「あぁ。まずは黒炎(コクエン)だ」
『黒炎』…‥、
確か‥
魅倉(ミクラ)がいる族だ
「数年前に、総長や幹部の奴等は代わってるが……、今も出入りしてるみたいだからな。そいつ等にお前の情報を流せば…」
「‥黒猫に情報がいく」
「はずだ。確率は低いが、やってみる価値はある」
ニヤニヤ笑う
比奈に
ちょっとだけ
苛立ちを感じながら
僕は静かに
話を聞いていた
アスカさんに
バレたら大変だからね‥