僕等は野良猫
比奈は
小さな声で言う
「…舞鬼を見てると……‥‥俺、アイツを思い出す‥」
「…‥ん。名前…漢字が違うだけで…‥同じだもんな」
「あぁ…」
柏はゆっくりと
比奈の頭を撫でる
「あの時、お前がどんな選択をしても…‥結果は同じだった」
「…だろうな‥」
「アイツは…‥後悔してないと思うぞ。だから…、お前も前に進め……比奈」
「…わかってる。今更‥、下なんか向けねぇよ」
比奈は立ち上がる
そして
庵と艶に
近づいていった
「…アイツ…‥舞葵のことは…‥‥忘れるんやで………比奈‥」
柏の言葉は
あまりに小さく
誰の耳にも
届かなかった