僕等は野良猫


「…泣くなよ」


「え‥っ」



庵は僕の目元に


優しく優しく‥触れた



庵の綺麗な指には


雫が一つ‥


残っていた



…きっと


僕はまた‥


誰かを傷つける



あの日‥


玖音の心に


傷を付けたように…‥



僕はまた‥傷つける



「庵‥」


「だから泣くなって」



庵は優しく


僕を胸に抱き寄せた



庵の匂いは‥


どこか懐かしく


誰かに似ていた
< 18 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop