僕等は野良猫


「昔さ、お前よく玖音にこうされてたよな」


「‥うん」


「アイツ、お前に近寄る男を片っ端から‥ぶっ飛ばして、いっつも…お前を抱き締めてたよな」


「‥僕が甘えたからだよ」


「お前さぁ‥バカだな。アイツ本気でお前が好きだったんだぞ?」


「……分かってるよ。僕も‥大好きだったから」



僕は庵の腕の中で


小さく呟いた



「‥大好きだった、か………今は好きじゃないのか?」


「………好きだよ。誰よりも‥どんな人よりも大好き。でも…‥」


「でも‥?」


「…でも、それは昔の話。今は‥大切なお兄ちゃん」



そう…‥


今の僕にとって‥


玖音は


大切なお兄ちゃんでしかない
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