僕等は野良猫
「…僕は、後悔してないです」
『浬音‥』
『…だから嫌いなんだよ』
ゼロ様は
スッと大きな鎌を
僕に向けた
『何故ルイナを責めない。お前を人間にできなかったのはルイナだ。どんな理由があるにしろ、ルイナの力不足だ』
ゼロ様は
ただ真っ直ぐに
僕を見つめる
『…何故。人間になりたいと、言わない』
「……確かに‥人間には、なりたかったけど……‥後悔した時もあったけど……」
それでも僕は…
「今、後悔してないから」
猫だったから
触れることができた感情がある
得られたものは
とても大きかったから
「僕は、猫になれて…‥よかった」
『っ…浬音‥』
『はーっ。馬鹿すぎて疲れるから、もういい』
ゼロ様の手から
スーッ‥と
鎌が消えていった
『……ルイナを傷つけるなら消してやろうと想ったんだが…‥、ヤメだヤメ』
「ゼロ様‥」
ゼロ様は
溜め息をついついた