僕等は野良猫
「知らなくていいこともあるんだからな」
「‥まぁ」
「じゃあ行くか。庵がいなくなるかもしれないからな」
比奈は笑う
まるで何かを
楽しんでいるみたいだ
「あ、言い忘れてた」
「なに?」
「庵がいるとこに連れてってやるけど、勝手に動くなよ?」
「‥わかった」
「それと、俺よりも前に出るなよ。いいな、絶対だぞ」
「うん‥」
比奈はそう言うと
歩き出した
無言で
比奈の歩くスピードに
合わせて歩く
比奈は周りを
見ながらも
確実に目的地へ向かっている
比奈は確実に
何かを知っている
僕はただただ
比奈を見上げながら
後をついて行った