僕等は野良猫
比奈は
薄暗い路地を抜け
古い建物の中に入った
「階段降りるから転ぶなよ」
「うん」
比奈は
チラッと僕をみた後
歩き出した
薄暗い階段を
ただただ降りていく
沢山の階段を
僕らは降りた
「ここから先は龍雅さんのエリアだ」
「‥エリア?」
「あぁ。ここは龍雅さんが基本的にいる場所だ。この扉の向こうに庵もいる」
「‥庵が…」
「行くぞ」
比奈はゆっくりと
目の前にある扉を開けた
僕の目に写ったのは
とても悲しい世界だった
あぁ…
これが現実なんだ――…‥。