僕等は野良猫
「久し振りだな。比奈」
「お久しぶりですね、龍雅さん」
悲しい現実に
見知った顔が怪しく笑う
「何か用か?」
「庵は、いますか?」
「別室にいるが」
「会ってきてもいいですか?」
比奈はニコッと
気持ち悪いくらいに
笑っていた
父さんは
そんな比奈を
ジッとみていたが
一つの扉を指差した
「あの部屋だ」
「ありがとうございます」
比奈はゆっくりと
歩き出した
僕は
静かに比奈の
後ろをついて行った